任意保険に加入する目的として多くの人は次の3つを目的としているでしょう。
1.相手方への補償のため
2.自分への補償のため
3.相手との示談を保険会社に任せるため
交通事故では相手の車や財産を傷つけるだけでなく、時には相手に身体的損傷を負わせ、最悪の場合、相手を死亡させてしまうこともあります。そんな時はどうしても感情的になり相手と示談することは困難を極めることでしょう。
そんな時に出番となるのが法律の専門家である弁護士であり、 弁護士法72条では弁護士でない者が報酬を得る目的で、業として他人の法律事務を取り扱うことは非弁行為として禁止しています。
ですが、前日にも書いたように日本全国の交通事故を弁護士だけで対応しようとするならば、弁護士が何人いても到底足りません。
また、弁護士法72条の「ただし、この法律又はほかの法律に別段の定めがある場合は、この限りではない。」と記載があります。
保険会社が自動車保険において、保険会社が被保険者にかわって被害者と交渉する示談交渉サービス(いわゆる示談代行)について、日弁連と損保会社と示談代行の合法性について協議が重ねられ、1973年に対人示談代行について、そして1982年に対物示談代行についても合法性が確認されました。
では、対人賠償の示談代行についてもう少し確認していきましょう。
日弁連と保険会社との協議の結果、次の5つの措置を講じることになりました。
1.保険会社社員による示談代行 ⇒ つまり対人賠償に関して、代理店が示談代行を行うことはできません。
2.被害者の直接請求権の導入 ⇒ 被害者は本来事故を起こした加害者に対 して賠償請求するものですが、これを保険会社に対して請求できるようにしました。
3.支払基準の作成 ⇒ 弁護士ではない保険会社社員が示談を行うわけですから不公平なことにならないよう支払基準を定めることになりました。
4.交通事故裁定委員会の設置 ⇒ 第三者機関を設けて民事紛争和解の斡旋を行うようにしました。この委員会はのちに「交通事故紛争処理センター(紛セン)になり、今でも存在しています。
5.1事故無制限の採用 ⇒ それまでは対人賠償に上限が設けられていましたが、被害者の救済と早期解決を目的に無制限が導入されました。(無制限には再保険がかかっていますが、これは後日掲載したいと思います)
また、対物賠償についても解説したいと思います。
対物賠償は対人賠償よりもはるかに事故の件数が多く、これを弁護士ないしは保険会社社員がすべて対応することは物理的に不可能と考えられ、その結果、紆余曲折があったものの、保険会社とは別法人である鑑定人(アジャスター)による対物事故の示談代行は合法であると解されるようになりました。(アジャスターについてはこれも後日掲載したいと思います)
以上のことから弁護士でなくても保険会社やアジャスターが示談代行を行えるようになったということです。
少しはためになったでしょうか?引き続きよろしくお願いいたします。
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